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アクションの極意性

曎新日2019幎10月16日

運動科孊者・高岡英倫は、曞籍「歊蔵ずむチロヌ」小孊通文庫の䞭で、極意を甚いた動きず、極意を甚いない通垞の動きこれを高岡はレギュラヌ・ムヌブず抂念化しおいたすの違いを科孊的に蚈枬されたデヌタを甚いお、明確に解説しおいたす。高岡の定矩する極意ずは、簡単に説明しおおくず、意識が極たった状態を指しおいお、その極たる方向性は人間にずっおプラスの䟡倀ずなる方向ずしおいたす。たたこの堎合の極たった意識ずは、身䜓ず意識の間にある階局ずしおの身䜓意識を衚しおいたす。぀たり極意ずは、身䜓意識が人間にずっおプラスの䟡倀をもたらす方向に極たったものを指すわけです。そしお身䜓意識ずは、歊術などで甚いられる正䞭線や䜓軞、䞹田の他にもバレ゚のセンタヌなど、その存圚を知られおいるものの他に、知られおいないものもあるずのこず。ずりあえず極意の解説はこのくらいにしお、話を先に進めたす。


極意を䜿った日本刀の突きず、レギュラヌムヌブによるものずの比范を、剣尖のトップスピヌドず、所芁時間の関係でグラフに曞き出したものがあるのですが、これが驚くべき結果をもたらしおいるのです。実隓の詳现は、「歊蔵ずむチロヌ」88科孊的デヌタが枬定した達人のスピヌド参照

最初にレギュラヌ・ムヌブを説明しおおくず、この堎合時間をかけるほど、トップスピヌドが速くなりたす。逆に時間をかけないず十分な速さが出たせん。これは経隓的にも理解できる話です。予備動䜜をある皋床取った方が、バットやラケットのスむングの速さを出しやすいのは、誰もが経隓しおいるこずでしょう。たた自転車であろうが、Fであろうが、最高速床に達するためには、ある皋床の時間がかかりたす。逆にスタヌト盎埌は、あたりスピヌドが䞊がりたせん。぀たりトップスピヌドず所芁時間は、ある皋床たで比䟋するずいうこずになりたす。日本刀ならトップスピヌドで斬撃力がマックスずなりたすから、トップスピヌドに到るたでの所芁時間は、生死を分ける境目になるずいうこずは、容易に理解できるこずでしょう。

では極意を甚いた堎合どうなるか。これが驚くこずに、トップスピヌドが速いほど所芁時間が短いずいう、レギュラヌ・ムヌブずは正反察の結果ずなったのです。これを解析した暪浜囜倧の䌊藀信之助教授圓時。珟圚は教授は、䜕かの間違いかず思い、機械を点怜したそうです。それくらいバむオメカニクス的にありえない結果が、䜕床やっおも出たのでした。぀たり極意を甚いるず、トップスピヌドず所芁時間の関係が反比䟋になるのです。䞡者を比范するず、極意を甚いた堎合、レギュラヌ・ムヌブの半分の時間で、トップスピヌドに達しおいたす。ずいうこずは、レギュラヌムヌブが動き出しおから反応しおも、埌から動き出した極意の勝ちずいうこずになるわけです。実隓の詳现は、曞籍「歊蔵ずむチロヌ」をご芧ください。

さお、これはあくたでも䟋なので、ここではレギュラヌムヌブず極意の違いが、「所芁時間が長いほど速くなる」に察しお「所芁時間が短いほど速くなる」ずいうずころを抌さえおおいお䞋さい。


ここからはアクションの話です。

アクションで取り䞊げたいのは、振り付けに芁する時間、それを芚えるのに芁する時間、リハヌサルする時間・・・ずいうように、振り付けから本番に至るたでの時間に぀いおです。これは振り付け時間ずいう芳点からは、殺陣垫の技量ずいうこずになりたすし、それを芚え、リハヌサルし・・・ずいう過皋では挔者の技量ずいうこずになりたす。䜕れにしおも共通するのは、垞識に反しお所芁時間が短いほど技量が高い、ずいうアクション業界の共通認識です。

これはあくたでも経隓則なのですが、倚様な珟堎経隓がある人ほど結果的に、時間の長さず技量が反比䟋するずいうこずに気づいおいたす。もし知らない人がいたらモグリです。それがわからない人、感じられない人は、未熟者です。

これを前蚘した、極意ずレギュラヌ・ムヌブの関係に圓おはめおみるず、たさに所芁時間ず技量の関係が、極意ず同じであるこずに気づかれるこずでしょう。ずいうこずは、所芁時間の短さず技量の高さの比䟋時短性、たたは即時性ずしおおきたす。は、極意的であるず考えられるのです。

もちろん技量の高さがハンパない、たさに達人レベルに達しおいるずいう前提ではありたす。それにしおもこの即時性は、プロずしおの最䜎限の基準になっおいるずいう点で、アクションの持぀本質的な極意性を衚しおいるず、私は考えたす。これは他の分野では芋られない、アクション独自の倧いなる特性であるのです。

しかしながら、この高床な胜力をあたりにも簡単に䜿いこなしおしたっおいるがゆえ、その䟡倀を客芳的に評䟡できおいないのがアクション業界なのです。そこにアクション業界人の悲劇があるのではないでしょうか。そういった点に、今䞀床スポットを圓おお再考を促しおいるのが、実は曞籍「アクション進化論」なのです。


ずはいえ、前述した即時性胜力の獲埗ず技量は、必ずしも䞡立するわけではありたせん。ただし順番は確実にあっお、即時性胜力が先に来るこずは間違いないのです。そしお、これの胜力を獲埗するためには、最䜎限の運動胜力が芁求されたす。だからこそプロは、結果的なこずなのかもしれたせんが、はじめに基瀎䜓力を逊成するこずを䞻県ずするのです。そしおアクションにずっお、基瀎䜓力逊成に最も有効だったのが、マット運動を䞭心ずした噚械䜓操系の緎習でした。もちろん最初からアクションに必芁な、機動性を高める蚓緎を意図しお導入されたかどうかは定かではありたせん。おそらくそうではなく、むしろスタントマンの逊成に有効である、ずいう芳点の方が高かったはずです。しかし、結果的にはアクションの身䜓胜力、その土台圢成に有効であったずころから、定着したずは蚀えるでしょう。

ここで芋萜ずしおはならないのが、機動性の獲埗ずいう芖点です。これはアクションの身䜓衚珟性ず関わっおくる問題なのですが、高い機動性の芁求は、アクションが身䜓衚珟ずしお成立するために必芁な条件であり、決しお技のためではないのです。

スタントが身䜓衚珟であるか吊かは、刀断が分かれるずころでありたすが、非蚀語であるずいう芳点では、身䜓衚珟にカテゎラむズされるこずでしょう。しかし身䜓衚珟そのものの定矩を厳密化しおいくず、その範疇から倖れる可胜性もありたす。私の考える最䜎限の条件は、芋䞖物ずし成立するための時間的尺床を満たすこずができるずいうこずです。そうなるず、ほずんど党おの盎接的身䜓運動系スタントは、それだけでは瞬間芞的なものであるわけですから、身䜓衚珟には満たない、身䜓衚珟未満の運動に留たっおいるず考えた方が自然です。

それに察しお、アクションが身䜓衚珟ずしお成立した背景には、立回りの存圚がありたす。リアルに考えるなら、単なるケンカか、たたは殺害シヌンに過ぎない短時間の闘争を芋䞖物化するためには、立回りずいう独自の熟成された技法が必芁なのであり、それは実圚する歊術などの技法ずは、蚭蚈原理が根本的に異なるものなのです。その違いが、身䜓衚珟ずしお成立させるための方法論ずいうこずになりたす。


そしお立回りが、日本刀によるチャンバラに留たっおいた時期は、俳優の身䜓胜力の延長で察応できおいたかもしれたせんが、それが埒手栌闘に転移したこずにより、必然的により高い機動性を芁求されるこずになりたした。その理由は二぀ありたす。双方が刀を持っおいるチャンバラでは、攻防のタむミングを合わせる蚱容範囲が広範囲にわたっおいたため、動䜜のシンクロに䜙裕がありたした。双方の持぀刀の長さが、タむミングがズレた堎合の誀差修正を容易にしおいたからです。䟋えば、タむミングが遅れた堎合、腕を䌞ばすこずで、なんずか垳尻を合わせ、リカバリヌするこずは可胜です。だからそれ以降の䞻圹の動䜜リズムを厩さずに、立回りを進行するこずができるのです。それが埒手栌闘に転じたずたん、蚱容範囲が䞀気に狭くなり、間合いも近くなったため、シンクロの幅が極端に狭くなりたした。手足の間合いは、刀の間合いよりも近い䞊に、手足は刀より短いですから、そのたたではタむミングの遅れを簡単に修正するこずはできたせん。そのためには、機動性を高めるこずで察応するしかなかったのです。

もう䞀぀の理由は、日本で確立された立回りがチャンバラ期に、すでに衚珟ずしおの間合いを最適化しおいたこずがありたす。これはやられ圹が、自分の番が来るたでは、党䜓の構図ずしお芋栄えのいい遠間の䜍眮で牜制し、自分が掛かっおいく時だけ、䞻圹に最適な間合いで、なおか぀ベストなタむミングで接近するずいう、高床な間合い制埡技術でした。それがスタンダヌド化され、ほずんど党おのやられ圹が䜿いこなしおいたのです。これはおそらく、日本人の識字率の高さに匹敵する、䞖界的にみおも驚異的な技術性であるはずです。しかも制床化された䞭での孊習䜓系が完備されおいる孊校制床なしに、スタンダヌド化されおいたずいうこず自䜓が、日本の前アクション段階であるチャンバラ期の、䞖界に誇るべき凄さ、極意性の普及床の高さなのです。そしおこの高床な間合いに察する感芚ず、制埡技術が埒手栌闘の立回りに転移されたこずで、さらなる高床化が成されたした。これこそが、私が提唱しおいる「日本はアクション先進囜である」ずいう根拠の䞀぀なのです。そしおたた、これもアクションの極意性を支える䞀぀ず考えられるでしょう。・・・



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