リアムのアクション理念
実はアクション業界では、アクションの定義が全くなされていません。それは多様性のある表現だからなのですが、そのことが逆にアクションの技術性を曖昧にしているのではないでしょうか。
リアムでは多様性のあるアクションを定義によって絞り込み、身に付けるべき技術を明確にしています。その定義が<絶対アクション>という概念です。
<絶対アクション>とは、多様性を持つ<アクション>の集合の中心に、格闘を表現する<立回り>の集合があり、さらにその中心に<主役表現>の集合を持つ構造です。
そして<絶対アクション>こそアクションの本質である、というのがリアムの理念なのです。
ですから例えば、バック転であるとか空手の足刀、正拳突きなど異分野の専門技術を、利用することはあります。しかし、それらはアクションの本質ではないのです。その証拠に、それらの専門技術を用いなくても、アクションを表現することは十分可能ですから。
異分野の専門技術とは、リアムの提唱する絶対アクションにおいて、土台を底上げし強化することには有効です。バック転ができれば機動性が高まりますし、正拳突きができれば、軸がぶれない、パンチの軌道が安定するなどメリットがあります。しかしこれはアクションというOSの上でこれら異分野技術というソフトウェアを起動させるから有効なのであって、どんなに技が優れていても、器械体操OSや空手OSを起動させてしまっては、むしろマイナス効果しかないのです。
技の凄さの追求は、アクション表現の感動を殺します。
絶対アクションとは、このような間違いを犯さないための手段でもあるわけです。俳優限定である理由もここにあります。
1.
Universal Action
ユニバーサル・アクション
どこでも通用する普遍的なアクションであること。
そのための技術性と理論体系を完備。
→ 全局面対応型アクション・システム:舞台・映像/
様式美・リアリズム/徒手・刀剣 の三次元局面
2.
Less is more
より少ないことは、より豊かなこと
より少ない技術から、その都度異なる表現を生み出すことを心がける。それがアクション表現のベスト。
多品種多品目の技ではなく、抽象度の高い本質的な運動構造を
身につけることでの対応を学ぶ。
戦術(何をやる)ではなく、戦略(どうやるか)を身に付ける。
3.
God is in the detail
神は細部に宿る
動きのディテイールに徹底的にこだわる。
その積み重ねが他者との違いをもたらす。
雑な激しさは、誰にでもできるインスタントな表現。
繊細な美しさは細部へのこだわりであり、
制御力の高さが要求されるオーガニックな表現。
4.
Ludwig Mies van der Rohe
ルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエ
20世紀のモダニズム建築を代表する、ドイツ出身の建築家。
リアムのアクション理念は、彼の思想をベースにアクションの見地から解釈されたものである。